月1原発映画祭ニュースレター第3号

月1原発映画祭ニュースレター第3号

■ 今月のトピック「三重県芦浜原発阻止20年…原発の断りかた」

● 今回は、原発建設に反対してとめた、芦浜の希望あるお話です。なぜ今芦浜原発なのかというと、私は名古屋の生まれで、3.11を東京で経験した私と、名古屋の友人との間には、何かしら温度差があると、常々感じていました。そうしたら、久しぶりに名古屋からやってきた友人が「自然エネルギーは不安定だし、私は、原発賛成」と言ったのでびっくり。そういえば、三重県の尾鷲の方で原発計画があったな、三重原発や伊勢原発の可能性もあったのかもと、調べてみたら、以下の本に出会いました。

● 『原発の断りかた ―ぼくの芦浜闘争記―』

【Amazon】

https://www.i-nagi.com/book_asihama/
元高校の英語の先生で、立地予定地の南島町と伊勢市で教えていた柴原洋一著。伊勢でタウン誌を発行している月兎社(げっとしゃ)の発行です。発行日は、2020年2月22日で、当時の北川正恭三重県知事が芦浜原発白紙撤回を宣言した2000年2月22日からちょうど20年の日にあたります。手書きタイトルとざっくりしたイラストの装丁も素敵でおすすめです(1,650円:税込)。

【内容紹介】

芦浜は、三重県伊勢市と尾鷲市の間にあり、中部電力が建設しようとした芦浜原発に対する反対運動は、第1回戦(1963年~1967年)と第2回戦(1984年~2000年)がありました。第1回戦は国会議員団の乗った巡視船を漁船約370隻が包囲。逮捕者まで出て、当時の田中覚三重県知事が原発計画断念を宣言。第2回戦は、漁協の総会を住民2,000人が取り囲んで開かせず、さらには三重県の有権者142万人のところ、81万人の反対署名を集め、北川正恭三重県知事が推進白紙撤回を表明するに至りました。

筆者の柴原洋一さんは原発計画をとめたのは南島町の漁民であり、都市住民、県民はそれを支えたのだと言います。そうしたらなんと、その、原発に反対した三重県南島町古和浦(こわうら)の漁民、小倉正巳さん、小倉紀子さん夫妻らを中心に描いた映画『原発夫婦』が、発表されたばかりだったのです。

【地図】三重県、和歌山県で原発をつくらせなかったまち


http://www.jtgt.info/sites/default/files/2020-12-07-1.pdf

● 映画『原発夫婦』https://genpatsu-fufu.info/

https://www.masabumi.net/directors-works/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%A4%AB%E5%...

2020年、78分、
監督:内谷正文(うちや・まさぶみ) 1969年神奈川県生まれ。埼玉県在住
監督の内谷正文さんは、俳優であり、モデルであり、薬物依存症の啓発活動も当事者として行っているという経歴の持ち主。長編映画は、2作目です。もし可能になったら、月1原発映画祭でもぜひ上映会を開き、内谷さんを招いてみたいものです。

なお、内谷さんが『原発夫婦』を撮ることになったのは、2018年5月、東京新宿のスタジオで上演された芦浜闘争を描く舞台劇『夜明け前、私たちは立ち上がる。』で、古和浦漁協の反対派理事を演じたことが縁となって小倉夫妻を知り、その生き方に惚れ込んだからだそうです。

● 芦浜原発阻止20周年記念シンポジウムとして、2020年2月24日(月・休)、三重県津市にて「三重県に原発がない理由」が開かれました。



http://nonuclear-mie.blogspot.com/2020/01/224.html
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/468354
こちらで当日の録画を見ることができます。

「2.24芦浜原発白紙撤回20年記念イベント 三重県に原発がない理由(わけ)」
主催:原発おことわり三重の会
登壇者:
平賀大蔵(第3代「鳥羽市立『海の博物館』」館長。1953年南島町方座浦生まれ)
中村和人(「南島町原発反対の会」事務局長。1959年方座浦生まれ)
乙部一巳(元三重県議会議員、元自民党県議団長、元党県議会芦浜原子力発電所設置問題検討委員会会長。1933年生まれ。津市)
小倉紀子(原発反対女性団体「古和浦郷土を守る有志の和」の結成に参加。美容師。1942年生まれ。南島町古和浦)
柴原洋一(『原発の断りかた』著者。1953年三重県浜島町生まれ。元高校英語科教員。三重県伊勢市)
元自民党県議団長も芦浜原発をとめた一人として登壇しているのが興味深いです。映画『原発夫婦』短縮30分版も上映されました。

● 全国で原発建設をとめさせた市・町はいくつあるか

原子力発電所建設との闘い―立地反対運動と原発訴訟(比較ジェンダー史研究会/富永智津子【年表4】)
https://ch-gender.jp/wp/?page_id=10773

30以上の立地予定地で原発建設を阻止しています。あるいは、闘いが続き、建てさせていません。なぜ、阻止できたのか、特に女性の活動に注目し、丁寧に分析・検証した年表です。

三重県でも、熊野原発、海山原発、紀伊長島原発の計画がありましたが、漁民の反対で建設されませんでした。和歌山県側でも、那智勝浦、古座、日置川、日高町古浦、日高町阿尾で漁民から反対運動が起こり、原発建設を阻止しています。月1原発映画祭でも、2014年11月1日(土)に『祝(ほうり)の島』(纐纈あや監督) http://www.jtgt.info/?q=node/633 を上映しています。瀬戸内海の山口県祝島では、1982年以来、対岸の上関原発に対する反対運動が続き、いまだに建設を許していません。

日本では1966年以来、17カ所57基の原発が建設されてきましたが(ただし12月6日現在稼働中なのは玄海原発2基と川内原発1基の計3基)、それ以上の原発が阻止されてきたのです。先人の熱い思いと、無数の勇気ある人々に学び、希望につなげていきたいと思いました。

文責:西川直子


■ 超ショートコラム「自分の言葉で答えよう」

~「原発ないと困るでしょ」って言われたら?~

生活や職場から、生活の手段のひとつである電力が急に消えたら困る。でも電力は100%原発で賄ってるわけではない。そしてただ、困る、という意味では、原発立地で住む場所から離れなくてはならなかったり、汚染水で漁業ができなくなったりする人の「困る」と比べると、原発がなくて考えられる「困る」の比ではない、と思う。だから私は原発ではない電力とエネルギーを考えていきたい。(台東区・井上)


◆ 「自分の言葉で答えよう」への回答募集

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お題:
「原発ないと困るでしょ」って言われたら?
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■ 1行ニュース

1.宮城知事、女川原発再稼働に同意 震災被災地で初 (2020/11/11)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66082720R11C20A1000000/

2.鹿児島川内原発1号機 発電と送電を開始 全国初のテロ対策施設完成で (2020/11/19)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201119/k10012721691000.html

3.高浜原発の再稼働、地元町議会が同意 老朽原発で全国初 (2020/11/25)
https://www.asahi.com/articles/ASNCT3QFJNCMPTIL00C.html

4.洋上風力、事業者選定開始 再エネ切り札、電力・商社応募へ (2020/11/28)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112701016&g=soc
生活クラブの風車もこのあたりにあります。
https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=0000048626

5.大飯原発、設置許可取り消し認める 大阪地裁判決 (2020/12/4)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66993600U0A201C2AC8000

■ 次回のニュースレター

次回のトピックは「原発を止めた裁判官~その理由は~」の予定です。

■ 月1原発映画の会

問い合わせ先  eigasai2020★jtgt.info ←★を@に置きかえてください。
http://www.jtgt.info/ (地域から未来をつくる・ひがし広場内)

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